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品格の差

  • ookoo-ro
  • 9月1日
  • 読了時間: 2分

とある昼下がり、デパ地下の喫茶店でのこと。

店内は混み合っており、私の席と1メートルも離れていない隣の席に、小学校1年生くらいの男の子とその祖母らしきご婦人が座った。

何気なく会話を聴いていると、祖母らしきご婦人が「何を飲みますか?オレンジジュース?」と言った。

少年は「アール・グレイがいい。」と即答した。

これを聞いて、私は卒倒しそうになった。私は小学校1年生のころ、アール・グレイなどという単語を聞いたこともなかった。

果たしてどんな子どもだろうとさりげなく観察すると、少年は、「鬼滅の刃」で、鬼舞辻無惨が変身していたお金持ちの家の養子「俊國」を彷彿させる小ぎれいな服を着、目鼻立ちのはっきりした利発な顔立ちであった。

数分後、テーブルにアール・グレイが運ばれてくると、祖母らしきご婦人は少年に「シロップを入れてあげましょうか?」と問うた。

少年は「元の味を楽しみたいので、いりません。」と優しく答えた。

私は再度卒倒しそうになった。

「元の味を楽しみたいので」という表現を用いて会話する小学校1年生がいたのだ。

私は60歳近くになった今でも、無意識に、店で出てきたのがラーメンならとりあえずコショウを、トマトパスタならタバスコを振りかけようとする。「元の味を楽しむ」余裕はなく「タダの物はとりあえず使う」という貧乏人根性が抜けない私にとって品格の差を感じた出来事であった。



 
 

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