本日、宮崎地裁で、今年1月、27歳の男が、住居に侵入して、制服や下着等を盗んだところ、寝ていた女子高生が目を覚ましたと思って、女子高生の背中をアウトドアナイフで刺したという強盗殺人未遂事件の裁判員裁判の初公判が行われたとのニュース報道を見た。
被告人は、事実関係を認めているから、争点は有罪無罪ではなく、量刑、つまり刑罰をどれくらいの重さにするかという点だ。
刑法では、強盗殺人罪の刑は、「死刑か無期懲役」しかないが、未遂罪の場合は、裁判官は、刑を減軽することができることになっている。
刑の 減軽とは、刑を軽くするということで、「死刑」を減軽すると無期懲役か10年以上の懲役刑に、「無期懲役」を減軽すると7年以上の懲役刑になる。
弁護人は、「未遂罪」だから刑を減軽すべきだという主張と、被告人は犯行時、「泥酔」していたことを理由に、もう一段、刑を減軽すべきだと主張するようだ。
泥酔していたのだから刑を軽くすべきだという主張は、しらふのときに冷静に犯行に及ぶのと比べて、卑劣さ、悪質さが小さいとか、非難の程度が低いということ、平たくいうなら、「酒に酔っていたんだから大目に見てあげてよ」という弁解を前提にしている。この前提は、法律家にとっては暗黙の前提のようだ。
しかし、寝ていた女子高生の立場からすれば、犯人が泥酔していたからその刑を軽くするという理屈は、到底受け入れられないだろう。
私も正直、そのような前提は受け入れられないという感覚である。
市民から選ばれた裁判員に「泥酔の弁解」が通用するのか、どの程度響くのか、今後の検察官の求刑と裁判所の判決に注目だ。