静岡地裁の無罪判決に対して、検察が控訴しないまま、控訴期間が経過したので、無罪判決は確定した。
言い換えれば、これまでに言い渡された地裁、高裁、最高裁の死刑判決は全て誤りであったことになる。
死刑判決が執行されなかったことは、不幸中の幸いだが、刑務所に拘禁された50数年間は戻らない。
先日、袴田さんの無罪判決を勝ち取るまでの袴田さんの獄中での日記、弟の無罪を訴え続けた姉の活動等をまとめた報道番組を見た。
袴田さんのお姉さんの話しによれば、袴田さんが獄中からお姉さんに宛てた手紙の内容は、死刑判決確定を境に大きく変わったそうで、死刑判決後は、自分だけの世界を作り出してその世界に閉じこもる内容に変わっていったとのことだった。
無実の訴えが最高裁にも届かなかった現実に絶望し、死刑執行の恐怖から逃れるための防衛本能だったのかもしれない。
それにしても納得できないのは、なぜ裁判にこれほど時間がかかるのかということだ。
もちろん被告人が否認していて、目撃者も指紋も出ていない事件では、有罪か無罪か、裁判官が悩み、特に慎重に証拠を確認するので判決までに時間がかかるのは分かる。
しかし、それでも判決までに、4年も5年もかかるのだろうか?
もっと早く無罪判決が出せなかったのか、残念でならない。