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葉桜の季節になると思い出す感覚

 もう葉桜の季節も過ぎたのかもしれませんが、5月上旬になると決まって蘇る苦い思いがあります。私は、30数年前大学を卒業し、そのまま司法試験予備校への通学に便利な東京近郊に住んでいました。

 司法試験には1次試験から3次試験まであり、最初の関門であるマークシート式の1次試験は毎年5月の第2日曜日(母の日)と決まっていました。

 4月上旬から5月上旬は、本番直前で、3つあった大手の司法試験予備校で、ほぼ毎週土日、模擬試験が行われ、私も毎週末、模擬試験を受けていました。

 夕方ころ3時間30分の模擬試験を終え、その後、夜9時過ぎまで、予備校の自習室で答え合わせをし、帰宅するため、予備校最寄駅のJR高田馬場駅方面に歩くと、駅前の交差点付近で、決まって新入生歓迎コンパの一次会が終わったらしい大学生たちが立ち止まって談笑している場面に出くわすのでした。

 その横をかすめるように、六法全書や参考書を一杯詰め込んだリュックを背負った私は、伏し目がちに通り過ぎるのでしたが、その光景を思い起こすたび、自分は一体いつになったら司法試験に合格できるのだろうか、何年受験してもこのまま合格できないのではないかという不安と焦りが蘇るのです。

 弁護士になって20数年経った今でも、葉桜の時期になると蘇る苦い記憶です。



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