先日、「マツコの知らない世界」というテレビで「あなたの知らないカプセルホテルの世界」という特集が放映された。
今風のおしゃれで広めのカプセルホテルから昔ながらのカプセルホテルまでいろいろ紹介された。
私は昔ながらのカプセルホテルが好きだ。
それは、縦横各1メートル、奥行き2メートルほどの広さで、2段ベッド式、出入りの際は、アコーディオンカーテンで開閉し、カプセルの中には、14インチほどのテレビが設置してあり、枕と薄い敷布団と毛布が1枚敷かれていて、横になると頭の斜め上にある通気口から風が吹いてきて、カプセルの中で空気がこもるのを防いでくれる。
初めてカプセルホテルを利用したのは、最終合格する前の2年前で、司法試験の第1次試験(マークシート方式、毎年5月の第2日曜日)直前の1週間から試験前日までの間と、第1次試験の合格が発表される6月上旬ころから、第2次試験(論文式、毎年7月中旬ころ)の前日までの1か月半の約2か月間、熊本市にあるカプセルだった。
司法試験予備校が熊本市と福岡にあったが、私の自宅から近い熊本市の方を選び、その2か月間、毎日午前9時30分に牛丼を食べ、熊本城のお堀に沿って予備校まで歩き、予備校の無料自習室で午前10時から午後9時ころまで勉強して、カプセルに帰る途中で再び牛丼を食べ、カプセルホテルの大浴場で疲れを癒やし、午後10時から午前0時までカプセルの個室の中の薄暗い照明の下で、その日の復習をして寝る毎日で、マシーンのような生活を繰り返した。
幸い、上下の宿泊者でいびきがひどい人に遭遇したことはなかったため、大理石様のライオン像の口からお湯が噴き出す豪華な大浴場で心身ともにくつろいた思い出だけが残っている。試験に合格して弁護士になったら、その大浴場で、別の大人たちがやっているように、別料金を払ってアカスリを体験してみたいと夢見ていた。
弁護士になってからも泊りの出張のときは、博多、新橋を利用してきたが、コロナ以降、オンライン会議が主流で、出張がとんと減った。
さみしい限りである。